「学びの不平等をなくしたい」。マレーシア在住の6人の高校生が、オンラインで、同年代のミャンマー難民に授業を開講するボランティアを今年1月に開始した。マレーシアにいる18万人を超えるミャンマー難民のうち、4.5万人が18歳未満だが、公教育へのアクセスが許されていない。プロジェクトに参加している日本人留学生、大宅晴己さんは「教育の機会を得られなければ、将来、国際的な競争力や成功を手に入れられない」と話す。(寺町幸枝)
■国内規制が教育格差を助長する
「マレーシアでは、難民が抱える教育格差について具体的な施策が特に行われていない。より良い機会や教育を求めてマレーシアに逃れてくるミャンマー難民は、残念なことにSOP(*)により、マレーシアに来ても十分な教育を受ける機会がないのが現実だ」と話す大宅さん。
*SOPとは、「Standard Operation Procedure=標準作業手順書」を指し、政府が発表した準拠すべき規定や規制を指す
国連難民高等弁務官事務所の調べによると、マレーシアにいるミャンマー難民の子どもたちは、国内の公教育システムで学ぶことが許されず、128ある地域の学習支援センターでしか教育を受けられない。2017年には、15万人のミャンマー人難民のうち、18歳未満が2万5000人ほどで、その内で教育を受けているのは、たった30%だというデータがある。
最新データ(2022年4月)によれば、難民の数は18万人を超え、18歳未満は4万5000人に膨れ上がっている。新型コロナウイルスによるパンデミックや、ミャンマーにおける軍事クーデターを乗り越えたとはいえ、国を追われ、明るい未来を求めてマレーシアにやってきたミャンマー人たちにとって、困難は続く。
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