オーストラリア発ボディケアコスメ「FRANK BODY(フランクボディー)」が今話題を呼んでいます。たった一つの製品「Original Body Scrub(オリジナルボディースクラブ)」販売を、4年で20億円のビジネスへ成長させたのは、当初から行ってきたInstagramをはじめとした明確なソーシャルメディア戦略でした。ミレニアル世代、そして、ジェネレーションZ世代(※1)を虜にしたこのボディースクラブは、2000万本以上もの売上を誇る人気商品に成長しています。
(※1)ミレニアル世代、ジェネレーションZ世代: ミレニアル世代は1980年以降に生まれた世代、ジェネレーションZ世代は1990年代半ば以降に生まれたソーシャルメディアネイティブ世代。いずれもデジタルネイティブ世代であり、社会のあり方を変容させる世代として注目される。
フランクボディーの強みは、そのブランドが持つオリジナリティと、緻密に計算されたSNS上のコンテンツにあると、デジタルマーケティングの専門プラットフォームOlapic(オラピック)はそのブログで述べています。
コーヒー+ヴィーガンというオリジナリティ溢れる商品
現在製品のラインナップを増やしたフランクボディーですが、コーヒーは全商品に共通する素材です。コーヒーの抗酸化作用を美容に利用するという考えは、一部の美容フリークにはすでに知られていたことです。ネットには独自のレシピを掲載する人も存在している中、商品化されたものが存在していないことに目をつけたのが、フランクボディーの5人の若き創設者たちでした。
創設者たちは、自分たちと同世代であるミレニアルやジェネレーションZ世代をターゲットに選びました。彼ら世代の傾向の一つは、有害物質の入っていない製品を好むことです。さらに、衣食住の全てにおいて動物由来のものを避けるヴィーガン志向が高いのも、この世代の特徴です。イギリスのヴィーガン専門誌の調べでは、1万人を対象にイギリスで行った調査では、65歳以上の14%に対して、15~34歳では、ヴィーガン志向者は42%に上るといいます。
フランクボディーは、ヴィーガン向け製品がほとんど(約7割)です。さらにノンヴィーガンのものも含めて、すべての製品がナチュラル(石油化合物を使用していない)製品です。こうした製品の特徴は、製品の美容効果に加え、商品にオリジナル性を持たせ、人気につながっています。
綿密なSNSコンテンツ戦略:ブランドのアンバサダー「frankfurts」の存在
フランクボディーは、立ち上げ当初メイクアップアーティストやビューティーブロガーなどのインフルエンサーに対して、商品を提供するというPRキャンペーンを行いました。
一方で、純粋にSNSを通じて購入した顧客たち(ユーザー)を「frankfurts(フランクファーツ)」と呼び、ハッシュタグ「#thefrankeffect(ザ・フランクエフェクト)」を使った写真をポストすることを促し、コミュニティー作りを始めました。
中でも女の子たちがコーヒースクラブを使って、日々のスキンケアの様子を「getting dirty(汚れている)」写真としてアップすることを、ソーシャルメディアの中でムーブメントとして起こしました。こうした流れの中、フランクボディーはセレブが使用している写真の投稿よりも、ユーザーによる投稿写真の方がより口コミ効果が高いと分析しています。
ユーザーとのコミュニケーションを第一に
フランクボディーはSNSから自社サイトまで、あらゆる面でブランドのコンセプトやストーリーに一貫したメッセージが込められるように注意深く仕掛けていったといいます。そのメッセージは、例えば「Hey babe, I’m Frank(やあお嬢さん、僕はフランクだよ)」や、「Frank has something to say(フランクからちょっと一言いいたいんだが)」という親しみを込めた言葉づかいや、「get naked. get dirty. get rough. get clean. (裸になれ。汚れろ。もっと激しく。そしてきれいになれ。)」といった、ちょっとセクシャルな雰囲気も漂うメッセージです。
「Cheeky(チーキー)」という言葉で表現される「ちょっとおせっかいだけど、憎めない」存在=フランクを、ブランドのコミュニケーターとして当初から確立し、自社サイトでも、ソーシャルメディアでも、フランクの存在が突出するように仕掛けてあります。
オーストラリアEコマース専門家であるジェームス・ディロン氏は、こうしたフランクボディーのマーケティング手法を次のようにまとめています。
とにかく「フォロワーとのコミュニケーションを第一に、販売は二の次」という手法を選択している点。ソーシャルメディアでは、商品以上にフォロアーのライフスタイルについて語り、そして商品に対する思いを表現していきました。これにより、フォロワーとの信頼関係を築き、ターゲット世代と自分たちが同じ目線であることを証明した結果、1年間で35万フォロアーに成長しました。
シンプルな製品にシンプルな戦略で
Forbesの記事によれば、立ち上げ当初、資金は1万ドル(約100万円)にも満たなかったそうです。それが、2000万ドル(約21億円)のビジネスに成長しました。
「私たちのサイトへのトラフィックは、今でもユーザーの紹介が大部分を占めています。私たちは消費者が見たいと思うコンテンツ作りに多くの時間を費やし、さらにUGC(※2)戦略は、ビジネスを始めた最初の日から力を入れています」とは創設者の一人、ジェス・ハッジス氏の言葉です。
2017年2月現在で、消費者が自由に撮った写真にハッシュタグ#letsbefrankと#thefrankeffectがつけられたものは10万を超えています。 (※2)UGC:User Generated Contentsの略。ユーザー(=一般消費者)によって自由に作られるコンテンツ。
フランクボディーの成功は、美容効果の高い製品を手軽に購入できるという、その製品ありきであることは間違いありません。しかし、「シェア」世代の特性を生かし、「ハッシュタグ」を利用し、ユーザーが商品を自由に紹介できるようにできるよう、明確な戦略を立てたことが成功の鍵となっています。
■Frank Body https://int.frankbody.com/ ■Frank Body Original coffee scrub商品ページ https://int.frankbody.com/collections/skincare/products/original-coffee-scrub ■Frank Body Instagram https://www.instagram.com/frank_bod/
(参考記事) Olapic http://www.olapic.com/resources/how-frank-body-brewed-success-through-social-commerce_blog-p1aw-f1ii-v1be-v1re-t1sm-t1ec-t1dm/ Daily Mail http://www.dailymail.co.uk/femail/article-3507383/Frank-Body-skincare-company-curing-eczema-cellulite-acne-psoriasis-coffee.html WPCURVE https://wpcurve.com/frank-body-instagram/ The Glitter Guide http://theglitterguide.com/2015/09/15/a-conversation-with-the-team-behind-frank-body/ James Dillon http://www.gorilla360.com.au/blog/ecommerce-content-marketing-case-study-frank-body Forbes USA https://www.forbes.com/sites/viviennedecker/2017/02/22/how-australias-frank-body-built-a-20m-global-beauty-brand-on-social-media/#3dc0a9e74709 Officeworks https://www.officeworks.com.au/workwise/grow-and-lead/how-a-coffee-scrub-became-a-beauty-cult-product
BWRITE - Case Study 2017.4.26配信分