ハワイといえば、「かき氷(シェイブアイス)」は定番の一つ。オアフ島ノースショアの「マツモト」が最も有名だが、ハワイ諸島で今断然No.1なのは、マウイ島発の「ウルラニシェイブアイス」だ。
トリップアドバイザーや、Yelp!など、レーティングサイトで軒並み4.5スター以上を獲得しているこのかき氷。自ら「食通向きのグルメ氷」と称するだけあって、同じかき氷なのに、他のものと一味も二味も違うのが特徴だ。
はじまりは、二人のハワイアン
「ウルラニシェイブアイス」の味はさることながら、誕生秘話もドラマチック。
オアフ島出身の女性ウルラニは、幼い頃から放課後の楽しみとしてかき氷を食べて育った。夫のデービッドもまた、かき氷を食べ親しんで育った。そんな夫婦が、西海岸へ移住したことをきっかけに、かき氷ビジネスの可能性を感じ始める。
というのも、人々が「スノーコーン」と呼ばれる貧素なかき氷を食べるために行列をなしているのを見たからだ。オアフで食べ親しんだかき氷のクオリティーを提供できるお店を始めたら、ビジネスチャンスがあるのではないか、と考えた彼女は、2003年に、ファーマーズマーケットでかき氷屋を始めた。そしてポートランドやバンクーバーで、すっかり有名になった。
2008年にハワイに戻った二人は、経済はどん底だったが、親友のブラッドと三人で、ラハイナに「ウルラニシェーブアイス」一号店をオープン。その美味しさとサービスが噂を呼び、すぐに記録的な長蛇の列が続く人気店となった。現在マウイ等で5店のかき氷チェーンを築くまでに至った。
ハワイのシェーブアイスは日系人文化の象徴
ウルラニの公式サイトには、ハワイのシェーブアイスの歴史も記載されている。それによると、シェーブアイスがハワイに根付いたきっかけは、サトウキビやパイナップル畑で働く日本人移民たちから持ち込まれた文化だという。
当時休みの日曜日だけ、大きな氷の塊を長なたや刀で細かく砕いたものに、ジュースやシロップがかかったかき氷が売られた。それは暑さ凌ぎとして、ハワイの気候にぴったりのものだった。日系移民が農園労働から離れていく過程で、シェーブアイスを販売するスーパーマーケットが続々と生まれた。
ハレイワ(ノースショア)の「マツモト」をはじめ、とくにオアフ島にはシェーブアイスの名店が並ぶ。
美味しさの秘密
ウルラニのシェーブアイスは、氷から店頭で作られている。自社内の浄水器を使ってハワイアンウォーターを凍らせ、自家製のシロップを提供する。シロップの甘みは100%サトウキビを絞りとったもので、フレーバーは本物の果物をピューレしたり、絞りとったジュースから用意したものばかりだ。
手間暇がかかっている分、価格も4.5ドルからと、少々お高め。だがその価値があると感じさせる理由は、一般的に売られている人工風味/甘味料と着色料で作られたシロップとは格段の味の違いだ。
また「ライチ」や「チェリー」など、ハワイのシェーブアイスではよくある味だが、米国本土や、日本ではあまり見かけない味もたくさん並ぶ。
そしてウルラニ自慢のメニューは、砂糖を加えていない、素材そのままの味「Sugar Free Flavors」を用意していたり、マウイ産のローカル高級アイスクリーム「Roselani(ロゼラニ)」をトッピングにできるなど、一杯のかき氷にこれでもかの工夫が凝らされている。
特にロゼラニのアイスクリームは、ウルラニの氷との相性抜群。ハワイの湿った空気の中で味わうと、さらに美味しさが増すように感じる。
さらにキヘイ店は、シェーブアイスのコーンをホルダーに入れて食べられるような工夫がしてあるカラフルな木製テーブルも魅力。家族連れやカップル、友人同士など、老若男女、ローカルも観光客も一緒になって、美味しいかき氷をほおばれるスペースがそこにはある。
マウイに行って、ウルラニを食べずしては帰れない。そんな風に感じさせるかき氷だ。
「ウルラニ・シェーブアイス:キヘイ店」
所在地/61 South Kihei Rd. Kihei, HI 96753 USA 営業時間/10:30-18:30(年中無休) ※その他マウイ島内に4店舗
T-Site Lifestyleニュース:2017年5月27日配信分