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【Alterna】映画「もったいないキッチン」、食ロス解決策を提案

執筆者の写真: funtrap
funtrap
2020年7月20日
読了時間: 5分

更新日:5 日前


新型コロナウイルスの影響で、映画の公開が8月に延期され、来日も叶わなかったダーヴィド・グロス監督(筆者オンライン取材にて撮影)
新型コロナウイルスの影響で、映画の公開が8月に延期され、来日も叶わなかったダーヴィド・グロス監督(筆者オンライン取材にて撮影)

映画のプロデューサーであるユナイテッドピープル代表の関根健次さんは、食品ロスに限らず、環境問題をはじめとした社会課題全般をテーマにした映画を制作や配給を行っている(筆者オンライン取材にて撮影)
映画のプロデューサーであるユナイテッドピープル代表の関根健次さんは、食品ロスに限らず、環境問題をはじめとした社会課題全般をテーマにした映画を制作や配給を行っている(筆者オンライン取材にて撮影)

「食品ロス」に対する認知を高めたい


「私の映画作りと料理には共通点があります。それは最後には、いいストーリーやいい食事で、人々を幸せにしたいと思っていることです。でもそこに到達するまでの明確な道筋は、いつも決まっていない」と話すダーヴィドさんは、前作の「0円キッチン」でも、ロードムービーというスタイルで、食品ロスに対する認知を高めるための映画を作っている。


ダーヴィドさんが「映画を通じて問題を指摘するのではなく、解決策を提案したい」と話すように、今回の「もったいないキッチン」には、日本全国の食にまつわる様々な人々が登場し、無駄をなくす食への多角的なアプローチが紹介されている。


「今回の撮影を通じて、思っていた以上に『もったいない』という言葉に宿るスピリチャルな部分に触れることができた」と話すダーヴィドさん。日本人が食べものや生き物に宿る魂のようなものに対し、ある種の畏敬の念を持っていることを知って非常に驚いたという。そしてこの「もったいない」の本質への気づきがあれば、食品ロスに対する行動に、大きな影響を与えられることを感じたと話す。


実際、この映画に登場する料理の数々は、手間はかかっていても、複雑な料理や手法は登場しない。例えば、京都在住で野草のプロとして知られている「若杉ばあちゃん」こと若杉友子さんもその一人。ダーヴィドさんが旅で出会った中でも若杉さんは最も忘れられない人だと話す。


若杉さんは「食べ物が変われば、身体が変わる。身体が変わると心が変わる。心が変わると生き方が変わる」と話す。「自然とともに生きる」を実践している若杉さんの教えは、現代の食品ロス問題に対して、我々一人ひとりがどう対応していくべきかを考えさせてくれる。

一方、ダーヴィドさんに「新しい価値観を提供してくれる活動家」と言わしめたのが、「昆虫食伝道師」として知られている篠原祐太さんだ。「コオロギラーメン」を世に出し、未来の食と言われる昆虫料理の世界で、「旨味」や「美味しさ」を追求している。


この二人に共通していることは、「自然との距離の近さ」だと話すダーヴィドさん。自然を大切にし、自然から学び、そしてその自然を守ることの大切さを感じながら、人間の存在意義を考える。そのようなアプローチを、今改めて地球で生きるものとして考える必要を感じさせられた。


食だけでなくエネルギー問題にも触れる


本作では、食べ物を中心としながらも、「もったいない」に関連するエネルギーや、プラスチックの使い過ぎ問題まで話しが膨らんでいる。プロデューサーの関根さんは、「食品ロスを削減するという目的だけではなく、サステナブル・ソリューション(持続可能な未来への解決方法)へのヒントを提案する作品にしたいと思った」と話すように、事前の入念なリサーチをする中で、発展的に見つけたストーリーも多いという。


最終的に、事前リサーチだけでなく、実際インタビューや撮影を行なったものの、本編に入れられなかったストーリーもあるという。「映画として、1時間半の長さにまとめられるように、監督と構成を練る中で苦渋の決断をしなくてはならなかった」と関根さんがいうように、食にまつわる伝えたいストーリーはまだ沢山あるようだ。


「多くの日本人は、『もったいない』という言葉を気軽に使うが、その本当の意味を深く考えて使っている人はあまりいないように思う」と話すダーヴィドさんは、この撮影を通して「もったいない」という言葉が、単純な「無駄にしない」という考えを飛び越えたものだということに、自身だけでなく、インタビューした相手が気が付き、一気に話しが盛り上がることが何度もあったと話す。


「もったいない」という言葉は食べ物の話しだけではなく、その背景にはあらゆる生き物には命が宿り、それを尊ぶ精神であり、突き詰めると社会とどう向きあうかという姿勢にも関係する。


「アイデアを考え始めると、いろいろなことができる。『これもったいなくない?』とちょっとした意識を変えるだけで、問題解決の発想のキーになる。これはどうなっているのか?こういう風にはできないか、という想像力や好奇心を促すような作品にするためにも、沢山の事例を紹介するストーリーにした」と関根さんが言うように、映画を見た人が、見終えた瞬間から何かしら社会を変えようと行動する一歩を踏み出せることができるようにしたい。そんな思いが詰まった作品だ。


「良いメッセージは広がる」と話すダーヴィドさんの思いを具現化した映画全体を覆い尽くすポジティブなエネルギーと相まって、その影響力の伝道力を感じさせられた。なお日本語吹き替え版では、ダーヴィドさんの声を、俳優の斎藤工さんが演じる。



予告編:

映画情報:監督・脚本:ダーヴィド・グロス出演:ダーヴィド・グロス、塚本ニキ、井出留美 他プロデューサー:関根健次


2020年/日本/日本語・英語・ドイツ語/95分/カラー/16:9/制作・配給:ユナイテッドピープル/提供:クックパッド株式会社/配給協力・宣伝:クレストインターナショナル

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